歌舞伎座英語版プログラムに粛粲寶の絵が使われていました その3
その1・その2からの続きとなります。
鳥シリーズの4作と違って、さらさらと力を抜いて描いた感じがまた魅力的です◎
KABUKI PROGRAM 1964年6月(Summer Breeze)
その1、その2と鳥シリーズが続きましたが、今回からは季節感シリーズのようです。
Breezeとはそよ風の事ですから、「夏のそよ風」といったところでしょうか。
近頃は住宅事情からか、近隣のお宅の風鈴の音がうるさいと苦情がくることもあるという世知辛い時代になってしまいましたね。
縁側、すだれ、蚊取り線香の豚、蚊帳(かや)・・・そして風鈴。
昭和の真っただ中に子供時代を過ごした私には夏の日常に極普通にあったものばかりです。
夏も今よりはずっと最高気温が低くて、夏はもう少し過ごし易く、私が小学生の時にはエアコンはまだ一般家庭にはありませんでしたしね。
絵はいげた形のつりしのぶに硝子の風鈴ですね。
涼やかな音色が聞こえてくる様です。
つりしのぶとは、竹などの芯材に山苔を巻き付け、しのぶ草を束ねて形を作ったものとなります。
よく縁日などで売っていたと記憶していますよ。
晝深く蛙の声もやむ時あり 風生句意
「晝」とは「昼」の旧字です。
「蛙」は「かえる」とも「かわず」とも読みますが、やっぱり「かわず」の方が気分ですよね!
風生とは富安風生という歌人で、粛粲寶と共同で版画と俳句の図版集を出したりしています。
【落款】粛
天ぷら松風さんの広告は睡蓮の葉ですね。
イタリアの国旗カラーに睡蓮の葉というのもシンプルで素敵ですね。
ところで、睡蓮と蓮の区別がつきますか?
私はすぐにわかりますよ。十年来の蓮の方の栽培人なもので(^^;)
KABUKI PROGRAM 1964年7月(Summer Water Colors)
Water Colorって水彩絵の具の事ですよね。だから「夏の水彩画」「夏彩色」まぁ、そんなニュアンスの画題なのでしょうね。水(Water)の中を泳ぐ金魚の意味も含まれているかと思われます。
夏の季節感で金魚。いやこれは出目金かな?
私は金魚を見る(勿論触る事なんて、もっと!)のが苦手なのです(大汗)
子供の頃は縁日で金魚すくいをやったのですけどね(^^;)
【画賛】
さざ波のかたより刻む池涼し 風生句意
富安風生の句です。
【落款】粛
天ぷら松風さんの広告はメダカでしょうか?
でも、天ぷら屋さんだからワカサギかな?とも思ったのですがワカサギの旬は冬なのであります。
ワカザギの天ぷらは勿論食べた事はありますが、メダカの天ぷらはありませんよ(食べる人いるのかな??)
中山青空子様、貴重な資料を有難うございます。
まだまだ他の号がありますので、続きますので愉しみにしていて下さいね◎