展示作品紹介『嘉果豊餘』
画題の「嘉果豊餘」
「かかほうよ」と読みます。
「餘」は「余る」の旧字ですので、「よい果物があり余るほどたくさん」と云うところでしょうか。
粛粲寶は生涯に多くの果物の図を描いています。
赤絵の鉢に果物が溢れんばかりですね。
この赤絵の鉢に盛って描かれた果物の絵は他所でも沢山見たことがありますので、この鉢が相当お気に入りだったのでしょうね。
桃、柿、梨、石榴、枇杷、葡萄、蜜柑。
桃は中国に於いて古くから邪気を祓い不老長寿をもたらすとして神聖視されてきました。
祝い事の際には桃の実をかたどった饅頭を食べるそうですが、「桃饅頭」として近頃は日本の中華料理店で見かけることがありますよね。中華料理チェーンの「バーミ〇ン」のマークが桃なのも、桃が不老長寿や吉祥を表すからなのでしょうね。
石榴は多数の実を持つ為に、古くより子孫繁栄の象徴とされてきました。
中国古代の風習では、花嫁を迎える前に、男性が石榴を贈る習慣があったそうです。また、現在でも新婚の部屋に石榴を飾り、それが開くことを瑞祥としているのだそうです。
日本でも同様の意味から安産・子育ての神様である鬼子母神信仰と密接に結びついているのだそうです。
初夏の枇杷と秋の石榴が同居していて、「う~~ん?季節はいつ?」と云う疑問も湧くのですが、「〇疋屋」等の高級フルーツ店にお願いしておいて、輸入物を入手すれば可能だったのかもしれませんね。
堂々として力強く、それでいて瑞々しい。
そんな粛粲寶の果物画です。
【遊印】
天道無親
「天道に親(しん)は無し」と読みます。
「天の行う道には、依怙贔屓(えこひいき)が無い」という意味になります。
【落款】
粛生粲寶と宗筍墨彩庵
他の絵に「宗筍庵(そうじゅんあん)」と書いたものもあるので、長く住した杉並でのアトリエを指すものと思われます。「墨」と「彩」を加えて、ますます粛粲寶の絵そのものだと思いますよね。
今年の10月に行われた「第48回新潟市美術展」の出品図録に掲載したNSG美術館の広告にこの絵を使いました。モノクロでも絵の良さが伝わってきますよね。
現在の展示では、果物の図が3点あります。
これが真ん中の大きさのものとなります。
小さいものは、つい先日のこのブログ内「池袋 三原堂」様の記事その2に掲載したものです。
現在はオープニング記念として、粛粲寶のポストカード4枚を有料入館の方に差し上げております。4種の絵柄の中のひとつがこの「嘉果豊餘」となります。在庫限りとなりますので、是非ゲットして下さいね◎
3月からのご来館者様も若干数はお渡し出来るかと思っております。
今期の展示もあと残すところあと1日と数時間となってしまいました。。。
来春には粛粲寶作品の展示替えを致しますので、楽しみにしていて下さいネ。