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2021/09/28 NEWS

10月30日(土)~12月19日(日)「天国の事は忘れてしまえ。この地獄の土の上に、厳かに立て。」倉持至宏展

 倉持の作品は脱物質的だ。以前は、画面が装飾的な模様で埋め尽くされた作品を制作していた。制作の意図を聞いた時、頭の中に図像がはっきり見えるので、自分はただ描き写すだけだ、という。

 作家が作品を制作する際、イメージが事前に明確に視覚化されることは実は希なことである。イメージスケッチやエスキースを重ねていく中で、イメージを明確化していくことが一般的である。通常作品は、作品化する以前に、頭の外へと未確定のまま出力されるのである。いちど空気にふれるのである。しかし、彼の作品は一度も空気にふれずに出力される。出力されても空気には触れないかのようだ。

 最近の作品も、マチエールがある画面を持ちつつも、見えてくるものはその表層のディテールのみである。描かれる人体も、空間的表現であるにも関わらず実体感が乏しく、白昼夢のように画面の表面を漂い、あくまでも二次元の境界にとどまる。鑑者と作品空間を共有させない、隔絶された心地よさが、彼の作品の魅力だと思う。         

                          長岡造形大学准教授 岡谷敦魚

 

倉持至宏展裏面

 

倉持至宏(くらもち しこう)略歴

1988年生まれ。幼少期にドイツで過ごす。

2011年 長岡造形大学卒。

2015年 東京造形大学修士卒。

【主なコンペディション】 

2014年 SICF15入選。

2018年 シェル美術賞入選。(オーディエンス部門5位)

2019年 上野の森美術館大賞展 賞候補。

【主な個展】

2014年 「容姿は道化師、心は幻」(Gallery 子の星)

2017年 「この星の、ブラックポイント。」(Gallery&Cafe VUCA)

2019年 「侵略者は死ぬべきだ。」(Gallery&Cafe VUCA)

 

「翼を燃やされた」200251642IMG-2380 (1)

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